「ホロライブチャイナで何があったのか」「桐生ココと赤井はあとの台湾発言はなぜ炎上したのか」――この騒動は、2020年9月に発生した配信上の問題をきっかけに、VTuber事務所ホロライブと中国のファンコミュニティとの関係を大きく揺るがした出来事です。その後、ホロライブ中国(HololiveCN)の所属メンバー6人が全員卒業し、中国市場での従来の展開にも大きな変化が生じました。
ただし、台湾発言による炎上、運営会社カバー株式会社の対応、HololiveCNの活動終了、中国市場からの事実上の撤退は、それぞれ分けて考える必要があります。加えて、2024年以降にはbilibili関連のイベントや配信が再び見られるようになり、2026年には上海での公式関連イベントも開催されています。過去の撤退が、そのまま現在の中国との完全な断絶を意味するわけではありません。
【結論】ホロライブチャイナで何があったのか?騒動の全体像

ホロライブチャイナとは、VTuber事務所「ホロライブプロダクション」が中国語圏の視聴者に向けて展開していたグループ「HololiveCN」のことです。日本のVTuber文化が海外に広がり始めた時期に、中国の動画配信プラットフォーム「bilibili(ビリビリ動画)」を主要な活動基盤として運営されていました。
カバー株式会社は2019年1月、bilibiliの運営会社と正式契約を結び、ホロライブ所属タレントの公式チャンネル開設や中国語字幕付き動画の配信、ライブ配信などを通じて中国市場への展開を開始しました。同年9月にはHololiveCNが始動し、中国語で活動するVTuberの育成にも乗り出しました。
転機となったのは2020年9月です。赤井はあとと桐生ココが、それぞれのYouTube配信でチャンネルの視聴者分析データを紹介したところ、台湾の表示をめぐって中国のネットユーザーから批判が集まりました。運営会社は2人の活動を3週間停止すると発表しましたが、この対応自体も日本や海外のファンから批判され、騒動は国際的な議論へと広がりました。
その後、2020年11月12日にHololiveCNのメンバー5人の卒業が発表され、11月16日には残る1人の卒業も告知されました。全員が年末までに活動を終えたことで、従来のHololiveCNというグループは実質的に終了しました。
一連の出来事を理解するうえで重要なのは、台湾発言が炎上の直接的な発端だったことと、グループ終了に至った経営・運営上の事情は、必ずしも同じ説明だけで片付けられないという点です。
【発端】桐生ココと赤井はあとの台湾発言はなぜ炎上したのか
赤井はあとの配信から桐生ココの配信へ
問題の発端は、2020年9月24日に行われた赤井はあとの配信です。赤井はYouTubeの視聴者分析データを紹介し、視聴者が多い地域について説明しました。その画面に台湾が表示されていたことから、中国のネットユーザーの一部が強く反発しました。
翌25日には桐生ココも自身の配信で視聴者分析データを紹介し、台湾に言及しました。報道では、赤井はあとの配信で台湾の視聴者割合が約7%、桐生ココの配信では約4.7%だったと伝えられています。いずれもYouTubeの分析画面に表示された視聴者データを取り上げたことが発端でした。
中国政府は台湾を自国の一部とする立場を取っており、台湾を中国とは別の国・地域として扱う表現は、政治的に敏感な問題です。中国のネット上では、台湾を独立した国のように並べて紹介したと受け止める批判が広がり、2人の配信やホロライブ全体への反発につながりました。
一方、配信の内容は視聴者分析データの紹介であり、2人が台湾の政治的地位について独自の主張を展開したことを示すものではありません。問題の中心には、配信画面上の地域表示をどう解釈するかという違いがありました。
カバー株式会社の3週間の活動停止処分
2020年9月27日、カバー株式会社は公式声明を発表し、桐生ココと赤井はあとの活動を3週間停止すると告知しました。公式説明では、YouTubeチャンネルの分析情報を公開したことや、特定地域の住民に配慮を欠く言動があったことなどが理由として挙げられました。
この処分をめぐっては、批判した中国のネットユーザーだけでなく、日本や海外のファンの間でも議論が起こりました。配信者本人の意図とは別に、分析画面に表示された情報を紹介したことに対して活動停止という処分を科すのは厳しすぎるのではないか、という反応が出たためです。
さらに問題を複雑にしたのが、日本語版と中国語版の公式声明の違いでした。中国語版の声明では「一つの中国」原則を支持する趣旨が明示された一方、日本語版には同じ表現がありませんでした。
2020年9月30日、カバー株式会社は公式発表に至った経緯と今後の方針について追加説明を行いました。ITmedia NEWSなどの報道でも、日本語と中国語の説明に食い違いがあり、混乱を招いたことへの謝罪が取り上げられています。
中国側の批判を受けて処分を行ったことが、日本や海外のファンには所属タレントを十分に守っていない対応と受け止められました。つまり、騒動は台湾の扱いをめぐる政治的な対立だけでなく、国際展開する企業が所属タレントをどう守り、異なる地域のファンにどう説明するかという運営上の問題にも発展したのです。
【時系列】台湾発言の炎上からHololiveCN解散までの経緯
ホロライブ中国の活動終了は、台湾発言の炎上と時間的に近接して起きました。ただし、カバー株式会社の卒業告知はメンバーの卒業日を公表したものであり、台湾発言だけを唯一の理由とする公式な解散宣言ではありません。ここでは、公表された出来事を時系列で整理します。
| 時期 | 出来事 | 確認できるポイント |
|---|---|---|
| 2019年1月 | bilibiliとの正式契約 | 公式チャンネル開設や中国語字幕付き動画など、中国市場への展開を開始。 |
| 2019年9月 | HololiveCNが始動 | 中国語圏向けのVTuberグループを展開。 |
| 2020年9月24日 | 赤井はあとが視聴者分析データを紹介 | 台湾の表示をめぐって批判が発生。 |
| 2020年9月25日 | 桐生ココも分析データを紹介 | 台湾への言及が中国のネット上で大きな議論に発展。 |
| 2020年9月27日 | カバーが2人の活動停止を発表 | 3週間の活動停止と、配信内容に関する公式説明を公表。 |
| 2020年9月30日 | 運営会社が追加説明 | 声明に至った経緯と今後の方針について説明。 |
| 2020年11月12日・16日 | HololiveCN全員の卒業を発表 | 最初に5人、続いて残る1人の卒業を告知。 |
| 2020年11月〜12月 | 所属6人が順次卒業 | HololiveCNは実質的に活動を終了。 |
| 2024年〜2026年 | 中国向け活動が再び展開 | bilibiliのイベント・配信や上海での公式関連企画が見られるように。 |
HololiveCNの歴代メンバー6人
カバー株式会社が2020年11月に卒業を発表したメンバーは、夜霧(Yogiri)、Civia、Artia、Doris、Rosalyn、黒桃影(Spade Echo)の6人です。中国語圏向けに活動していた第1世代と第2世代のメンバーで構成されていました。
- 夜霧(Yogiri):第1世代。卒業日は2020年12月20日。
- Civia:第1世代。卒業日は2020年11月18日。
- 黒桃影(Spade Echo):第1世代。卒業日は2020年11月21日。
- Artia:第2世代。卒業日は2020年11月19日。
- Doris:第2世代。卒業日は2020年12月26日。
- Rosalyn:第2世代。卒業日は2020年12月27日。
卒業日はカバー株式会社の2020年11月12日および16日の公式告知に基づいています。初回発表後に一部の日程が変更されたため、古い記事や転載情報では日付が異なる場合があります。
また、HololiveCNの全員卒業と、所属タレントそれぞれのその後の活動は別の問題です。グループが終了したことだけを根拠に、6人全員の卒業後の進路や現在の活動状況を同一視することはできません。
【撤退の背景】中国ファンの反応と運営判断はどう影響したのか
中国側では批判とボイコットの動きが拡大
当時の中国のネット上では、台湾の扱いをめぐる批判が相次ぎ、桐生ココと赤井はあとだけでなく、ホロライブ全体に対する反発へと広がりました。台湾の英字メディアTaiwan Newsや台湾紙Taipei Timesは、2人の活動停止や中国向け声明への反応、ホロライブに対する抗議やボイコットの動きを報じています。
ただし、中国のファン全員が同じ意見だったわけではありません。政治的な立場を重視して運営会社の対応を求める人がいた一方、タレントやコンテンツを支持していたファンにとっては、グループ全体が騒動の影響を受けること自体が大きな損失でした。ネット上で目立った批判を、中国のファンコミュニティ全体の総意とみなすのは適切ではありません。
日本や海外のファンからも運営への批判
日本や海外のファンの間では、2人の活動停止処分に加え、声明の内容が地域によって異なっていたことへの不満が広がりました。政治的な圧力に見える批判に対して、運営会社が所属タレントを守るよりも市場への配慮を優先したのではないか、という見方が生まれたのです。
この反応は、中国市場を重視する経営判断と、世界中のファンに向けて活動するVTuber事務所のブランド価値が衝突したことを示しています。ある地域で批判を抑えるための対応が、別の地域では不公平な処分や説明不足として受け取られ、結果として複数のコミュニティで不信感を生みました。
中国市場からの撤退は台湾発言だけが理由なのか
2020年11月にHololiveCNの全員卒業が発表されたことは事実です。しかし、カバー株式会社は卒業告知で、台湾発言だけを理由とする単独の解散理由を明示していません。
当時の運営方針を考えるうえで参考になるのが、カバー株式会社の谷郷元昭代表が2020年11月に公表した中国市場に関する説明です。同社は海外事業について、採算面でまだ課題があることや、海外展開では現地の人々の感情に配慮する必要があることを説明していました。
この説明からは、海外事業の収益性、現地の政治・文化的な事情、プラットフォーム運営、所属タレントの活動環境など、複数の要素を考慮する必要があったことがうかがえます。
したがって、台湾発言の炎上は中国展開にとって重大な転機だったと考えられますが、HololiveCNの終了をそれだけで説明するのは不十分です。騒動をきっかけに表面化した市場・運営・ブランド上の課題が重なったと捉えるほうが、当時の公式発表や報道と整合します。
【2026年最新】ホロライブと中国の関係はどうなっている?再進出の可能性
2026年10月25日時点の状況は、2020年当時の「中国市場からの撤退」という説明だけでは捉えきれません。ホロライブは中国向けの活動を一切停止したままというわけではなく、bilibiliでの配信や中国国内のイベントなど、個別の取り組みが再び行われています。
2024年:bilibili主催イベントへの出演
2024年7月、ホロライブプロダクションは中国・上海で開催される「Bilibili World 2024」と「BILIBILI MACRO LINK 2024」への所属タレントの出演を発表しました。ときのそら、ロボ子さん、夏色まつり、こぼ・かなえるが参加し、中国のファンに向けたイベント展開が再び注目されました。
この動きは中国向けの接点が再び生まれたことを示していますが、当時もホロライブCNの復活が発表されたわけではありません。既存の日本・インドネシアなどの所属タレントが中国のイベントに出演することと、中国語圏向けの独立したグループを新設することは、事業として異なるものです。
2025年:ラプラス・ダークネスがbilibiliで配信
2025年2月には、ホロライブ所属のラプラス・ダークネスがbilibiliで初配信を行いました。KAI-YOUなどの報道でも取り上げられ、中国の視聴者と直接つながる活動が再び行われた事例となりました。
こうした配信は、過去の台湾発言騒動以降も中国市場との接点が完全には失われていないことを示しています。ただし、個別タレントの配信実施をもって、中国向けのすべての活動が全面的に正常化したと判断することはできません。
2026年:上海でのイベントと中国向け展開
2026年には、公式関連の中国向け活動がさらに見られます。ホロライブの公式bilibiliアカウントは、7月10日から12日に上海で開催された「Bilibili World 2026」への参加を告知し、公式グッズ販売や撮影企画などを案内しました。
加えて、カバー株式会社は2026年8月、上海のBailian ZX Creative Centerで開催する「holonatsu Paradise」を発表しました。8月30日から9月9日までの期間限定イベントで、ホロライブ所属タレントのビジュアルを使用したグッズなどが展開されました。
これらは2026年に公表された具体的な活動実績です。一方で、同年10月25日時点で、HololiveCNを旧メンバー構成のまま再結成する、あるいは新たな中国語圏向けグループを正式に発足させるという公式発表は確認できません。
したがって、現在の関係を整理すると、中国市場との接点は復活・継続しているものの、HololiveCNの再結成や全面的な事業再開とは区別する必要があるという状況です。中国でのイベントや配信の実施は、今後の展開を考える材料になりますが、それだけで経営方針全体が転換したと断定することはできません。
【プロの結論】騒動の誤解を整理し、今後の再進出をどう見るべきか
ホロライブ中国の騒動には、現在も混同されやすいポイントがあります。第一に、台湾発言はYouTubeの視聴者分析データを紹介した配信から発生した問題であり、2人が台湾の政治的地位について独自の主張を行ったと断定することはできません。
第二に、HololiveCNの活動終了は、台湾発言の炎上後に所属メンバー全員の卒業が発表されたという時系列上のつながりがあります。しかし、運営会社が卒業の唯一の理由を台湾発言と明言したわけではありません。市場の採算性や現地の事情、プラットフォームとの関係などを含めて考える必要があります。
第三に、中国市場からの撤退という表現は、HololiveCNの終了や従来の中国向け事業の大きな変化を説明する際には有効ですが、2024年以降のイベント参加や、2025年のbilibili配信、2026年の上海での公式関連企画まで否定するものではありません。
今後の中国再進出を判断する際には、次の3点を確認が必要です。
- 公式発表の内容:イベント出演や個別配信なのか、中国向けグループの新設・再結成なのかを区別する。
- 継続性:単発の催しだけでなく、配信、公式チャンネル、商品販売などが継続的に展開されるかを見る。
- 運営体制:政治的・文化的な対立が再び発生した際に、会社が所属タレントをどう保護し、各地域のファンにどう説明するのかに注目する。
特に重要なのは、海外展開を単なる市場規模や売上だけで評価しないことです。VTuber事業では、配信者とファンの信頼、所属タレントの活動の自由度、現地のプラットフォーム環境が密接に結びついています。どれか一つに偏った対応は、ほかの地域で築いた信頼を損なうリスクがあります。
【ホロライブチャイナ何があった】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ホロライブチャイナはなぜ解散したのですか?
A1:2020年9月の台湾発言騒動が大きな転機となり、その後の中国市場での活動にも影響が生じました。2020年11月には所属6人全員の卒業が発表されています。ただし、カバー株式会社は台湾発言だけを唯一の解散理由と明言しておらず、海外事業の採算性や現地事情なども背景として考える必要があります。
Q2:桐生ココと赤井はあとは、台湾について何を発言したのですか?
A2:2人はそれぞれYouTubeの視聴者分析データを紹介し、台湾を含む視聴者の多い地域について言及しました。台湾が中国とは別の地域として表示されたことが、中国のネットユーザーの一部から批判を受けるきっかけとなりました。配信の発端は分析データの紹介であり、2人が台湾の政治的地位について独自の主張を展開したと断定できる内容ではありません。
Q3:HololiveCNの歴代メンバーは誰ですか?
A3:夜霧(Yogiri)、Civia、黒桃影(Spade Echo)、Artia、Doris、Rosalynの6人です。カバー株式会社は2020年11月12日と16日に全員の卒業を発表し、同年11月から12月にかけて順次活動を終了しました。
Q4:2026年現在、ホロライブは中国から完全撤退したままですか?
A4:完全に活動が途絶えた状態ではありません。2024年にはbilibili主催イベントへの出演があり、2025年にはラプラス・ダークネスがbilibiliで配信を実施。2026年にもBilibili World 2026への参加や上海での期間限定イベントが行われています。ただし、これらはHololiveCNの再結成や全面的な事業再開と同じ意味ではありません。
まとめ:ホロライブ中国騒動の真相と今後の動向
ホロライブチャイナの騒動は、2020年9月の桐生ココと赤井はあとの台湾発言をきっかけに、政治的な問題、運営会社の対応、ファンコミュニティの反応、中国市場での事業継続という複数の課題が一度に表面化した出来事でした。その後、HololiveCNの6人全員が卒業し、従来のグループは実質的に活動を終えました。
一方、2026年現在のホロライブと中国の関係は、過去の撤退だけでは説明できません。bilibiliでの配信や現地イベント、上海での公式関連企画など、中国市場との接点は再び生まれています。ただし、HololiveCNの再結成や中国向け事業の全面再開が発表されたわけではありません。
この騒動から見えてくるのは、国際的なエンターテインメント事業では、現地市場への配慮と、所属タレントを守る責任、世界各地のファンに対する一貫した説明が欠かせないということです。今後の再進出を判断する際も、単発のイベントやSNS上の憶測だけではなく、公式発表、継続的な活動実績、運営体制の変化を分けて確認することが、実態を理解する近道になります。