ドルトムント対チェルシーの対戦成績を振り返るうえで、最大の見どころとなるのが2023年のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)ラウンド16だ。第1戦はドルトムントが1-0で先勝したものの、第2戦ではチェルシーが2-0で勝利。2試合合計スコア2-1で、チェルシーが準々決勝進出を決めた。
勝敗を分けたのは、カリム・アデイェミの圧巻のカウンターだけではない。ラヒーム・スターリングの同点ゴール、カイ・ハフェルツのPK、そして第2戦でのチェルシーの戦術変更も、逆転突破を読み解く重要な要素だ。2026年時点で参照できるUEFA公式の対戦記録と試合・戦術レポートをもとに、得点者、スタメン、試合結果、両チームの戦い方を整理する。
【結論】ドルトムント対チェルシーの対戦成績は1勝1敗、突破したのはチェルシー

2023年のCLラウンド16は、ホームで1点を取ったドルトムントが第1戦を制し、第2戦ではチェルシーが2点を奪い返す展開となった。1試合ごとの勝者と、2試合を通じた勝ち上がりチームを分けて考えることが、対戦結果を正しく理解するポイントだ。
UEFA公式のヘッド・トゥ・ヘッド記録では、両クラブの対戦は2試合で、ドルトムントが1勝、チェルシーが1勝、引き分けは0。得点数はドルトムントの1点に対して、チェルシーが2点となっている。
ただし、ノックアウト方式のラウンド16では、各試合の勝敗だけでなく合計スコアが重要になる。ドルトムントは第1戦で先手を取ったものの、第2戦で無得点に終わり、チェルシーに逆転を許した。
なお、この1勝1敗という数字は、両チームの公式戦での直接対決成績を示すものだ。2試合を通じた勝ち上がりの結果はチェルシーの突破であり、対戦成績の五分とトーナメントの結果は矛盾しない。
【第1戦】2023年2月15日、ドルトムントがアデイェミの独走ゴールで先勝
第1戦はドルトムントのホーム、ジグナル・イドゥナ・パルクで開催された。試合は0-0で進んだが、63分にカリム・アデイェミが決勝ゴールを決め、ドルトムントが1-0で勝利した。
UEFA公式の試合レポートによると、先制点はチェルシーのCKを起点とするカウンターから生まれた。ドルトムントがボールをクリアすると、アデイェミが自陣から一気に加速。相手選手をかわしてGKケパ・アリサバラガを抜き、無人のゴールへ流し込んだ。
このゴールの価値は、単に個人技が優れていたことだけではない。チェルシーが人数をかけて攻撃した直後、守備陣形が整う前に前進できたことが決定的だった。アデイェミのスピードを生かすドルトムントの攻撃設計が、結果に直結した場面である。
一方、チェルシーにも決定機はあった。ジョアン・フェリックスのシュートは前半にクロスバーを直撃し、リース・ジェームズもGKグレゴール・コベルを脅かした。さらに78分には、カリドゥ・クリバリのシュートがゴールラインを越えそうになったところを、エムレ・ジャンがクリアしている。
つまり、第1戦はドルトムントが一方的に試合を支配したというより、チェルシーが作った好機を決め切れず、ドルトムントが鋭いカウンターを得点に結びつけた試合だった。UEFAの戦術分析でも、チェルシーはシュート数21本、期待得点(xG)2.20を記録した一方、ドルトムントのxGは1.49だったと紹介されている。
試合後の時点で、ドルトムントは公式戦の2023年全試合で7連勝。対するチェルシーは、攻撃の形を作りながらも得点に苦しんでいた。第1戦の1-0は、ホームチームにとって大きなアドバンテージだった。
【第2戦】チェルシーが2-0で逆転、スターリングとハフェルツが得点
第2戦は2023年3月7日、ロンドンのスタンフォード・ブリッジで行われた。第1戦を0-1で落としていたチェルシーは、準々決勝へ進むために少なくとも2得点が必要な状況だった。
試合の均衡が破れたのは43分。ラヒーム・スターリングがゴールを決め、チェルシーが1-0とした。カイ・ハフェルツやマテオ・コバチッチが左サイドから攻撃を進め、ベン・チルウェルの折り返しから生まれたチャンスをスターリングが仕留めた。
スターリングは最初のシュートをうまく捉えられなかったものの、こぼれたボールを再び自分の前に収め、強烈なシュートをゴールへ突き刺した。この得点によって2試合合計スコアは1-1となり、勝負は振り出しに戻った。
続く53分には、チェルシーにPKが与えられた。チルウェルのクロスに対するマリウス・ヴォルフのハンドが判定の対象となり、キッカーのハフェルツがペナルティースポットに立った。
ハフェルツの最初のキックはポストの外側に外れたが、ペナルティーエリア内への侵入があったため、PKは蹴り直しとなった。2度目のキックでは冷静にゴールを決め、チェルシーが2-0とリード。合計スコアも2-1となり、逆転突破に必要な条件を満たした。
その後、ドルトムントはジュード・ベリンガムらを中心に反撃を試みたものの、同点ゴールを奪えなかった。チェルシーはリードを守り切り、3シーズン連続となるCL準々決勝進出を果たした。
UEFA公式レポートでは、試合のマン・オブ・ザ・マッチにマルク・ククレジャが選ばれている。得点者はスターリングとハフェルツだが、守備面での貢献も逆転劇を支えた要素だった。
【対戦成績・スタメン一覧】第1戦と第2戦の結果を比較
2試合のスコア、得点者、先発メンバーを以下はUEFA公式の試合レポートおよび各試合の先発記録に基づく一覧だ。
| 項目 | 第1戦 | 第2戦 |
|---|---|---|
| 開催日 | 2023年2月15日 | 2023年3月7日 |
| 会場 | ジグナル・イドゥナ・パルク | スタンフォード・ブリッジ |
| 試合結果 | ドルトムント 1-0 チェルシー | チェルシー 2-0 ドルトムント |
| 得点者 | 63分:カリム・アデイェミ | 43分:ラヒーム・スターリング 53分:カイ・ハフェルツ(PK) |
| 合計スコア | ドルトムント 1-0 チェルシー | ドルトムント 1-2 チェルシー |
| ドルトムントのスタメン | コベル、ヴォルフ、ズーレ、シュロッターベック、ゲレイロ、ジャン、ベリンガム、エズジャン、アデイェミ、ブラント、ハラー | マイヤー、ヴォルフ、ズーレ、シュロッターベック、ゲレイロ、ジャン、ブラント、ベリンガム、エズジャン、ロイス、ハラー |
| チェルシーのスタメン | ケパ、ジェームズ、チアゴ・シウバ、クリバリ、チルウェル、フェルナンデス、ロフタス=チーク、ジエク、ジョアン・フェリックス、ムドリク、ハフェルツ | ケパ、フォファナ、クリバリ、ククレジャ、ジェームズ、コバチッチ、フェルナンデス、チルウェル、スターリング、ジョアン・フェリックス、ハフェルツ |
| 勝ち上がり | ドルトムントが1点リード | チェルシーが合計2-1で突破 |
スタメンを見ると、第1戦のチェルシーは4バックを軸とした布陣で、ジョアン・フェリックスやハフェルツを前線に配置。一方、第2戦はウェズレイ・フォファナ、クリバリ、ククレジャの3バックを採用し、両ウイングバックの攻撃参加を強めた。
ドルトムントは第1戦でアデイェミのスピードを最大限に生かしたが、第2戦ではそのアデイェミが欠場。加えて、先発したユリアン・ブラントが試合開始早々に負傷交代したことも、攻撃面に影響した。2試合の結果を比較すると、得点者だけでなく、選手の起用状況や試合中のアクシデントも見逃せない。
【戦術比較】ドルトムントのカウンターとチェルシーの前線プレス
両チームの対戦を理解するには、単純なシュート数や得点数だけでなく、ボールを奪った後に何を狙っていたかを見る必要がある。UEFAのテクニカル・オブザーバーによる分析では、第1戦と第2戦で両チームの攻撃設計に明確な違いが見られた。
ドルトムントの狙いは、中盤で数的優位を作り、相手の守備を中央に引きつけてから前進することだった。第1戦では4-1-4-1を基本とし、エムレ・ジャンを守備の前に配置。ユリアン・ブラントやアデイェミが内側へ動くことで、中央の選択肢を増やしていた。
この動きによって相手の中盤を引き寄せ、空いたサイドや前方のスペースを利用する。ボールを奪ってからアデイェミの加速を生かす攻撃は、その狙いを象徴するものだった。第1戦の決勝ゴールは、ドルトムントが得意とする攻守の切り替えが最も効果的に表れた場面といえる。
チェルシーは第2戦で、3バックとウイングバックを軸に攻撃の幅を確保した。ジェームズとチルウェルが高い位置を取り、スターリング、ハフェルツ、ジョアン・フェリックスが前線で連動することで、ドルトムントの守備を横方向にも動かした。
守備では高い位置から積極的にプレッシャーをかけ、相手が前進する前にボールを奪うことを重視した。UEFAの戦術分析によると、第2戦のチェルシーは両得点ともドルトムントのボール喪失から攻撃につなげている。第1戦でカウンターに苦しんだチェルシーが、第2戦では逆にボール奪取後の速攻を得点へ結びつけた点は興味深い。
一方、ドルトムントもボールを保持できなかったわけではない。UEFAの分析では、第2戦のドルトムントのボール支配率は60.8%とされている。それでも、前半に放った枠内シュートは1本にとどまり、保持したボールを決定機へつなげる点では苦戦した。
ここに両チームの差が表れている。ドルトムントはボールを保持して試合を組み立てる力を示したが、チェルシーは高い位置での守備と素早い攻撃で、相手のミスを直接的な脅威へ変えた。ボールを持つ時間の長さと、試合を決める攻撃の質は必ずしも一致しない。
【試合ハイライトと対戦経緯】なぜ第1戦のリードを守れなかったのか
ドルトムントは第1戦で勝利した時点で、CLラウンド16突破に向けて有利な立場に立っていた。2023年に入って公式戦で連勝を重ねており、ホームでの1-0はチームの勢いを裏付ける結果でもあった。
しかし、第2戦では前半43分にスターリングが得点し、試合の流れが変わる。さらに53分のハフェルツのPKで合計スコアが逆転したため、ドルトムントは守備を固めてリードを維持するだけではなく、得点を奪いに出る必要に迫られた。
攻撃に人数をかければ、その分だけ背後のスペースが広がる。チェルシーはそこを利用し、ボールを奪ってから素早く前進した。ドルトムントが第1戦でチェルシーの攻撃をカウンターで攻略したのに対し、第2戦ではチェルシーが同じような局面を作り出したのである。
もちろん、2試合の結果を第2戦の戦術だけで説明するのは不十分だ。アデイェミの不在、ブラントの早い時間帯での負傷交代、チェルシーの先制点による心理的な変化など、複数の要素が重なった。短期決戦では、試合前のプランだけでなく、想定外の出来事への対応力が勝ち上がりを左右する。
また、試合ハイライトを見る際には、得点場面だけでなく、その直前のボールの動きにも注目したい。アデイェミのゴールはチェルシーのCKからの速攻、スターリングのゴールは左サイドの連係、ハフェルツのゴールはハンド判定とPKの蹴り直しが起点となっている。それぞれ異なる形で生まれた3得点を追うことで、両チームの特徴がより鮮明になる。
2026年時点でUEFA公式の対戦記録を確認すると、両チームの公式戦での直接対決は、この2023年CLラウンド16の2試合が記録されている。したがって、現時点の対戦成績を調べる場合も、まずはこの2試合を基準にするのが分かりやすい。
【ドルトムント対チェルシー】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ドルトムント対チェルシーの2023年CLラウンド16は、どちらが勝ちましたか? A1:第1戦はドルトムントが1-0、第2戦はチェルシーが2-0で勝利しました。2試合合計スコアはチェルシーの2-1で、チェルシーが準々決勝へ進出しました。
Q2:第1戦と第2戦の得点者は誰ですか? A2:第1戦ではドルトムントのカリム・アデイェミが63分に得点しました。第2戦ではチェルシーのラヒーム・スターリングが43分、カイ・ハフェルツが53分にPKを決めています。
Q3:ドルトムント対チェルシーの通算対戦成績はどうなっていますか? A3:UEFA公式の対戦記録では、公式戦2試合でドルトムントが1勝、チェルシーが1勝、引き分けは0です。得点数はドルトムントが1点、チェルシーが2点で、2023年の2試合ではチェルシーが合計スコアで上回りました。
Q4:第2戦でハフェルツのPKが蹴り直しになったのはなぜですか? A4:最初のキックはゴールを外れましたが、ペナルティーエリア内への侵入があったため、PKが蹴り直しとなりました。ハフェルツは2度目のキックを成功させ、チェルシーの2点目を記録しました。
Q5:両チームの戦術にはどのような違いがありましたか? A5:ドルトムントは中盤で数的優位を作り、アデイェミらのスピードを生かした攻撃を狙いました。一方、チェルシーは第2戦で3バックを採用し、ウイングバックの攻撃参加と高い位置からのプレスを強化。相手のボール喪失から素早く攻撃につなげました。
まとめ:【プロの結論】勝敗を分けたのは得点力と試合中の修正力
ドルトムント対チェルシーの2023年CLラウンド16は、第1戦の1-0、第2戦の0-2という対照的な結果によって、合計2-1でチェルシーが突破した。ドルトムントはアデイェミのスピードを生かしたカウンターで先勝したが、チェルシーは第2戦で攻撃の幅を広げ、前線からのプレスを強めることで逆転に成功した。
この対戦から読み取れるのは、先勝したチームが必ずしも優位を保てるわけではないということだ。ノックアウト方式では、相手が戦い方を変えたときにどう対応するか、得点が必要な局面でどれだけ決定機を作れるか、そして守備から攻撃への切り替えをどれだけ効率化できるかが問われる。
対戦成績だけを見れば両チームは1勝1敗。しかし、トーナメントの結果を決めたのは、2試合を通じた得点の積み重ねだった。試合結果を正確に理解したい場合は、各試合のスコア、得点者、スタメンに加えて、合計スコアと戦術の変化をセットで確認することが重要だ。
アデイェミの独走、スターリングの同点弾、ハフェルツのPK。3つの得点場面をたどれば、ドルトムントが先に手にしたアドバンテージをチェルシーがどのように覆したのか、その試合展開が見えてくる。