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水曜日のダウンタウン、ギャラクシー賞5度目の月間賞と受賞理由・歴代企画を徹底解説

栗原 瑞穂 栗原 瑞穂 • 更新: • 公開: • 読了約 17 分
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2023年7月20日、お笑いバラエティー番組『水曜日のダウンタウン』(TBS系)が、ギャラクシー賞テレビ部門の2023年6月度月間賞を受賞したことが報じられました。対象となったのは、6月21日放送の「昭和はむちゃくちゃだった系の映像、全部ウソでもZ世代は気付かない説」です。番組にとって、これがギャラクシー賞の5度目の受賞となりました。

評価されたのは、単に奇抜なドッキリを仕掛けたことではありません。実在する昭和の記録映像を思わせるフェイク映像、世代間の認識の違い、出演者の即興トークを組み合わせ、視聴者自身の「映像を信じる感覚」まで笑いに変えた点が注目されました。2026年に受賞歴を振り返るうえでも、ギャラクシー賞の選考理由と歴代企画を整理すると、番組の企画力が評価されてきた背景が見えてきます。放送批評懇談会の公式発表と選評、報道各社の情報をもとに解説します。

【2023年6月度月間賞】5度目の受賞はどの放送回だった?

水曜日のダウンタウンギャラクシー賞

受賞対象となったのは、TBSテレビが2023年6月21日午後10時から放送した『水曜日のダウンタウン』の企画です。正式なタイトルは「昭和はむちゃくちゃだった系の映像、全部ウソでもZ世代は気付かない説」。放送批評懇談会が選定するギャラクシー賞テレビ部門の2023年6月度月間賞に選ばれました。

同賞は、テレビ番組や放送に関わる活動を評価するギャラクシー賞の一部です。2023年6月度には、テレビ朝日系ドラマ『波よ聞いてくれ』、広島ホームテレビの『テレメンタリー2023「原爆資料館 閉ざされた40分〜検証G7広島サミット〜」』、NHKスペシャルの沖縄戦に関する番組も選出されています。ドラマ、調査報道、ドキュメンタリー、バラエティーという異なるジャンルの作品が並んだ月でした。

『水曜日のダウンタウン』の受賞は、2021年10月の「おぼん・こぼん THE FINAL」以来、約1年8カ月ぶり。2023年7月のオリコンやお笑いナタリーの報道では、番組にとって通算5度目のギャラクシー賞受賞と紹介されました。

ここで押さえておきたいのは、今回の受賞がギャラクシー賞テレビ部門の「2023年6月度月間賞」だという点です。月間賞は、放送批評懇談会の選奨委員による日常的な視聴や推薦を通じて選ばれ、年間の入賞候補作品となります。月間賞を獲得したことと、年度の大賞を受賞したことは同じではありません。

【企画の内容】昭和のウソ映像をZ世代に信じさせる仕掛け

この企画の出発点は、「昭和の時代は今では考えられないほど無茶苦茶だった」というイメージです。昭和時代の珍しい風景や習慣を紹介するアーカイブ番組のような映像を用意し、その内容がすべてウソだったとしても、若い世代は見抜けないのではないか、という仮説を検証しました。

仕掛けの中心となるのは、昭和の記録映像を思わせるフェイク映像と、昭和世代の出演者がその内容に合わせて披露する即興エピソードです。映像の内容がもっともらしく見えるほど、出演者がその場でウソを膨らませる難度も上がります。単に知識の有無を試すクイズではなく、映像と証言が組み合わさったとき、人はどこまで話を信じるのかを笑いに変える構成でした。

進行を務めたのは千原ジュニア。昭和世代側には伊集院光、FUJIWARAの藤本敏史、ケンドーコバヤシ、中尾彬が参加し、Z世代側には山之内すず、ゆいちゃみ、木村伊吹、松本勇輝(THE SUPER FRUIT)が出演しました。昭和世代の出演者が初見のウソに合わせて話を組み立て、若い世代がそれをどう受け止めるのかが見どころとなりました。

放送批評懇談会が公開した選評では、干支に関する架空の食習慣など、実際には存在しない「昭和のトンデモ習慣」を例に挙げています。選評で紹介されたフェイク映像には、通勤客が山手線の屋根に座っているという荒唐無稽な光景や、校則違反を繰り返すと校舎から宙づりにされるという架空の罰則などもありました。これらは歴史的事実ではなく、企画のために作られたウソです。

面白さを支えたのは、ウソの内容だけではありません。昭和を知る世代と、当時を直接知らない世代が同じ映像を見ることで、知識、想像力、話術、疑う力の違いが自然に表れます。視聴者もまた、映像を見ながら「これは本当にあったことなのか」と考える立場に置かれました。

【受賞歴一覧】歴代5企画を時系列で整理

2023年7月の報道で5度目と紹介された受賞企画は、2015年から2023年までの次の5本です。歴史の証言を掘り起こす企画から、人間関係を追うドキュメンタリー的な企画まで、内容は大きく異なります。共通しているのは、ひとつの仮説を具体的な検証に落とし込み、予想外の発見や感情の動きを引き出していることです。

月間賞の時期 受賞企画 企画の見どころ
2015年7月度 「徳川慶喜を生で見たことがある人 まだギリこの世にいる説」 徳川慶喜を実際に見た記憶を持つ人が現代にもいるのかを調査。102歳を超える高齢者の証言から、歴史と個人の記憶がつながる面白さを引き出しました。
2017年6月度 「先生のモノマネ、プロがやったら死ぬほど子供にウケる説」 プロによる先生のモノマネと子どもたちの反応を組み合わせ、学校という身近な環境で仮説を検証した企画です。
2019年5月度 「新元号を当てるまで脱出できない生活」 お笑いコンビ・ななまがりが新元号を当てるまで脱出できない状況に挑戦。ヒントを得るための仕組みや、推理を積み重ねる過程が見どころとなりました。
2021年10月度 「おぼん・こぼん THE FINAL」 不仲で知られたベテラン漫才コンビの関係修復を長期的に追跡。仕掛けだけでは描ききれない、意地やプライド、人間関係の複雑さを映し出しました。
2023年6月度 「昭和はむちゃくちゃだった系の映像、全部ウソでもZ世代は気付かない説」 昭和の記録映像を装ったフェイクと即興トークを融合。世代間の認識の差と、映像を信じる心理そのものを笑いに変えました。

上記の受賞時期と企画名は、お笑いナタリーなどの報道および放送批評懇談会の月間賞・受賞作資料に基づいて整理しています。

最初の受賞となった2015年7月度の企画は、徳川慶喜を生で見たことがある人がまだ存命なのかを調べるというものです。100年以上前の歴史上の人物を、実際に見た人の記憶から捉え直す発想が特徴でした。お笑いナタリーが紹介した選評でも、102歳を超える人々の話が興味深い点として取り上げられています。

2019年の「新元号を当てるまで脱出できない生活」では、ななまがりが新元号「令和」を当てるまで挑戦を続けました。オリコンの報道によると、選評では、単に芸人を過酷な状況に置くのではなく、生活用品やヒントをポイントに応じて購入できる仕組みや、ヒントの出し方が評価されました。自由奔放に見える企画の中に、考え抜かれたルール設計があったことを示す事例です。

2021年の「おぼん・こぼん THE FINAL」は、ドッキリの一瞬の反応を切り取るのではなく、長期にわたる仲直りの試みを追った企画です。放送批評懇談会の選評では、仕掛けや説得を繰り返しながら、意地やプライドが絡む人間の複雑な感情を映像にした点が評価されました。

このように歴代の5企画は、同じフォーマットの焼き直しではありません。歴史調査、モノマネ、推理、人物ドキュメンタリー、フェイク映像という異なる題材を扱っています。共通するのは、タイトルで提示した仮説を、実際の人間の反応や行動を通して確かめるという番組の基本構造です。

【選考理由】評価されたのは「ウソ」そのものではない

2023年6月度の受賞理由を読み解くうえで重要なのは、放送批評懇談会の選評が、フェイクを使ったことだけでなく、企画全体の設計を評価している点です。選評では、昭和世代とZ世代を対比するフォーマットに、番組独自の毒気を組み合わせたことが取り上げられました。しかも、その毒気を特定の人物ではなく、昭和という時代のイメージに向けたことで、より広い視聴者が楽しめるナンセンスな笑いに仕上がったと分析されています。

特に評価されたのが、昭和世代の出演者たちの連携です。初めて見るウソの映像に対して、個々の出演者が自分の役割を果たし、即興で話を展開していく。誰かひとりが面白い話をするだけでは成立せず、映像の設定を理解する力、もっともらしい説明を作る話術、ほかの出演者との呼吸が必要になります。

つまり、フェイク映像は笑いを生み出すための素材であり、企画の完成度を決めたのは、それを受け止める出演者と番組全体の構成でした。放送批評懇談会は、こうした役割分担を「昭和的フォーメーション」と表現して評価しています。

もうひとつの要点は、映像の信頼性を逆手に取ったことです。昔の映像らしい画質や演出、断定的なナレーションなどは、視聴者に「記録された事実」という印象を与えやすいものです。この企画は、その印象を意図的に利用し、もっともらしく見える情報をどこまで信じるのかを娯楽に変えました。

これは、単純にZ世代の知識不足を笑う企画とは異なります。昭和を知る出演者も、若い世代も、視聴者も、それぞれ異なる立場から映像と証言を受け取ります。その過程で、時代についての思い込みや、映像を見たときに生まれる先入観が浮かび上がるのです。

放送批評懇談会が公開した「GALAC」2023年9月号の選評では、この企画の土台として、2022年8月に日本テレビ系で放送された特番「ダウンタウンvsZ世代 ヤバい昭和 あり?なし?」にも触れています。昭和の風景を若い世代がどう受け止めるかというテーマを、フェイクを使った検証企画に発展させた点も、企画の独自性を理解する手掛かりになります。

ギャラクシー賞の選考では、話題性だけでなく、時代性やジャーナリスティックな視点、作品としての完成度も重視されます。放送批評懇談会の公式説明によると、テレビ部門の月間賞は、委員による継続的な視聴や推薦を通じて選ばれ、年間の入賞候補作品となります。今回の受賞は、話題になったバラエティー企画が、番組表現としても評価された事例です。

【BPOとの関係】賞と批判はどう読み分けるべきか

『水曜日のダウンタウン』について調べると、ギャラクシー賞とともにBPO(放送倫理・番組向上機構)という言葉が検索されることがあります。過激なドッキリや賛否が分かれる企画があるためですが、両者は別の目的を持つ制度です。ギャラクシー賞は放送文化に貢献した番組などを顕彰する賞であり、BPOは放送倫理や人権への配慮などを検証する機関です。両者の評価が同じ基準で決まるわけではありません。

具体例として、BPOの放送倫理検証委員会は2019年7月、同年6月12日に放送された『水曜日のダウンタウン』の「中継先にヤバめ素人が現れてもベテランリポーターなら華麗にさばける説」について討議しました。問題となったのは、企画内で「ヤバめ素人」が描かれる方法です。BPOには、障害のある人を連想させる描写や、それを笑いの対象にするように見える演出への批判が寄せられていました。

同委員会は、企画が放送基準に抵触する疑いがあるとしつつ、TBS側が視聴者の批判を受けて演出上の配慮や注意喚起が十分ではなかったと認識し、番組制作者に差別に関する研修への参加を指導するなど、自主的な対応を取ったことを踏まえて討議を終了しました。この件は、BPOが審議入りを決定した事例とは区別する必要があります。

また、このBPOの討議対象となった企画は、2023年6月のギャラクシー賞受賞企画とは別のものです。したがって、「ギャラクシー賞を取ったから、番組のすべての演出が問題ない」と考えるのも、「BPOで議論されたことがあるから、番組全体が評価されない」と考えるのも適切ではありません。

放送番組を評価する際には、個々の企画について、何が試され、誰が笑いの対象になり、どのような影響が生じ得るのかを分けて考える必要があります。大胆な発想や予想外の展開が魅力になる一方で、人権への配慮や演出の適切さも問われます。賞の受賞歴と倫理上の議論を並べて確認することは、番組をより立体的に理解する助けになります。

【水曜日のダウンタウンのギャラクシー賞】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:水曜日のダウンタウンが5度目のギャラクシー賞を受賞したのはいつですか?
2023年6月21日放送の「昭和はむちゃくちゃだった系の映像、全部ウソでもZ世代は気付かない説」が、2023年6月度月間賞に選ばれました。受賞は同年7月20日に報じられ、2021年10月以来、約1年8カ月ぶりの受賞となりました。

Q2:2023年6月度月間賞の受賞理由は何ですか?
フェイク映像をエンターテインメントとして成立させた企画力、昭和世代とZ世代の対比、出演者それぞれが即興で役割を果たす構成などが評価されました。特に、特定の人物を攻撃するのではなく、昭和という時代のイメージを笑いの対象にした点が選評で取り上げられています。

Q3:歴代のギャラクシー賞受賞企画には何がありますか?
2015年7月度の「徳川慶喜を生で見たことがある人 まだギリこの世にいる説」、2017年6月度の「先生のモノマネ、プロがやったら死ぬほど子供にウケる説」、2019年5月度の「新元号を当てるまで脱出できない生活」、2021年10月度の「おぼん・こぼん THE FINAL」が、2023年の企画以前に受賞した4本です。

Q4:ギャラクシー賞の月間賞は、テレビ部門の大賞と同じですか?
同じではありません。月間賞は、放送批評懇談会が毎月の選考で推薦する作品に贈られ、年間の入賞候補となります。年度の大賞や優秀賞などとは区別して理解する必要があります。

Q5:水曜日のダウンタウンはBPOから問題視されたことがありますか?
あります。2019年には「中継先にヤバめ素人が現れてもベテランリポーターなら華麗にさばける説」がBPOの放送倫理検証委員会で討議されました。ただし、2023年のギャラクシー賞受賞企画とは別の放送回であり、当該件はTBS側の自主的な対応などを踏まえて討議終了となっています。

まとめ:今後も注目したい企画力と評価の読み解き方

『水曜日のダウンタウン』が2023年6月度のギャラクシー賞月間賞に選ばれた背景には、奇抜な発想だけでなく、フェイク映像、世代間の認識の違い、出演者の即興力を組み合わせた緻密な企画設計がありました。5度目の受賞につながった「昭和はむちゃくちゃだった系の映像、全部ウソでもZ世代は気付かない説」は、映像のもっともらしさと人間の思い込みを笑いに変えた企画です。

歴代の受賞企画を見ても、同番組は歴史調査、モノマネ、新元号当て、人物ドキュメンタリー、フェイク映像と、多様な題材に挑戦してきました。共通するのは、仮説を立てるだけで終わらず、人間の行動や反応を通じて検証し、予想外の結果を引き出す構造です。

受賞歴を調べる際は、月間賞と年度の大賞を混同しないこと、選評で実際に評価されたポイントを確認すること、BPOに関する情報は対象となった放送回と判断内容を区別することが大切です。賞の数だけで番組全体を評価するのではなく、企画ごとの発想、演出、社会的な配慮まで見ることで、『水曜日のダウンタウン』が放送文化の中でどのような評価を受けてきたのかを、より正確に理解できます。

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栗原 瑞穂
トレンドリサーチャー 栗原 瑞穂
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