卓球日本代表の張本智和選手と中国の関係は、両親の卓球経歴や2014年の日本国籍取得、日中の卓球界をめぐる競争、そして中国開催大会での観客の反応など、複数の要素が重なっています。2026年9月のアジア競技大会では中国の王楚欽選手を破り、日本男子団体の60年ぶりの金メダル獲得に貢献。一方、10月のWTTチャイナスマッシュでは観客のフラッシュ撮影やヤジが問題になりました。
では、張本智和選手は本当に中国で嫌われているのでしょうか。父・張宇さんと母・張凌さんの経歴、日本国籍を取得した理由、中国メディアの報道、中国ネットの反応、さらに2026年アジア卓球選手権での中国勢との対戦結果まで整理すると、単純な好き嫌いでは説明できない関係が見えてきます。
【結論】張本智和と中国の関係は「ルーツ」と「代表選択」が交差する

張本智和選手と中国の関係を理解するには、まず「中国にルーツを持つこと」と「日本代表として競技すること」を分けて考える必要があります。
張本選手は2003年6月27日、宮城県仙台市に生まれました。父は元卓球選手で指導者の張宇さん、母は元中国代表の張凌さんです。幼少期から日本で卓球に取り組み、2014年春に日本国籍を取得。その後、日本代表として国際大会に出場してきました。
一方、中国は世界トップクラスの卓球大国です。中国出身の選手や指導者が日本など海外で活動することもあり、卓球は国境を越えた技術交流が盛んな競技でもあります。そのなかで張本選手は、日本代表として中国の有力選手とタイトルを争う存在になりました。
注目すべきなのは、張本選手が中国と対戦するとき、競技上の勝敗だけでなく、出自や国籍、代表チームへの帰属意識まで話題になりやすいことです。こうした背景が、中国メディアの論調やインターネット上の反応に影響していると考えられます。
ただし、「中国人は張本智和を嫌っている」と一括りにするのは正確ではありません。2026年の報道を見ても、張本選手の発言や試合後のポーズを批判的に取り上げる論調がある一方、観客によるフラッシュ撮影やヤジを非難し、選手を擁護する中国のネットユーザーも確認できます。
【両親と2014年】中国人の両親・張宇と張凌、帰化の理由と経緯
張本智和選手のルーツをたどると、中国・四川省で卓球に取り組んでいた両親の存在が浮かび上がります。父の張宇さんは四川省チームに所属した経験を持つ卓球選手で、現役引退後は指導者として活動。母の張凌さんも元中国代表選手で、1995年の世界卓球選手権に中国代表として出場した経歴があります。
日刊スポーツや中国の新浪体育による過去の報道では、両親は1998年に宮城県仙台市へ移り、卓球教室などで指導に携わったと紹介されています。智和選手は2歳ごろからラケットを握り、卓球指導者である両親のもとで競技の基礎を身につけました。
ここで重要なのが、2014年春の日本国籍取得です。智和選手は小学4年生だった時期に、父の宇さんと妹の美和さんとともに日本国籍を取得し、「張」から「張本」へと姓を改めました。一方、母の張凌さんは中国籍を維持したと報じられています。つまり、家族全員が同じタイミングで日本国籍に変更したわけではありません。
では、なぜ日本国籍を取得したのでしょうか。理由を理解するうえでは、家族が日本で生活基盤を築いていたことと、智和選手が日本の卓球界で競技を続ける将来像を描いていたことの両方が大切です。
父の張宇さんは新浪体育のインタビューで、当初は中国・四川省に戻って指導者になることも考えていたものの、海外生活が長くなるにつれて生活の中心が日本へ移っていった趣旨を説明しています。日本が中国に近く、生活面でもなじみやすかったことも理由の一つでした。
また、智和選手にとっては日本代表としてオリンピックで金メダルを獲得するという目標がありました。2014年当時の日本国籍取得は、本人の競技人生と家族の生活基盤の双方に関わる選択だったのです。全日本選手権への出場資格など、日本の卓球界で活動するうえでの制度的な事情も背景にありました。
この経緯から、「中国を嫌って日本に帰化した」という単純な説明は成り立ちません。国籍の選択は、育った場所、家族の暮らし、競技者としての目標が交わるなかで決まったものです。
【年表】張本智和と中国の関係、2026年までの主な出来事
張本選手と中国の関係は、帰化の時点で固定されたものではありません。日本代表として成長するにつれて中国のトップ選手と対戦する機会が増え、2026年には中国の観客やメディアの反応も改めて注目されました。
| 時期 | 出来事 | 中国との関係・注目点 |
|---|---|---|
| 1998年 | 両親が仙台市へ移住 | 父・張宇さんと母・張凌さんが卓球指導者として活動 |
| 2003年6月 | 仙台市で誕生 | 中国・四川省出身の卓球選手を両親に持つ |
| 2014年春 | 父・妹とともに日本国籍を取得 | 日本代表を目指す競技人生の大きな転機 |
| 2026年9月24日 | アジア競技大会の男子団体決勝 | 王楚欽選手に3対0で勝利。日本が中国を3対2で破り金メダルを獲得 |
| 2026年10月7日 | WTTチャイナスマッシュ男子シングルス2回戦 | パク・ガンヒョン選手に3対2で勝利。フラッシュ撮影やヤジが話題に |
| 2026年10月8日 | WTTチャイナスマッシュ男子シングルス3回戦 | 中国の周啓豪選手に0対3で敗退 |
| 2026年10月19~25日 | アジア卓球選手権 | 中国勢を相次いで破り、男子シングルス2連覇を達成 |
この年表から分かるのは、2026年に張本選手が中国の観客やメディアから注目された理由が、一つの出来事だけではないということです。中国の強豪選手を破る競技成績、試合中の観客とのやり取り、そして日本代表としての発言が重なり、国内外で議論を呼びました。
【なぜ中国で嫌われる?】中国メディアの報道と中国ネットの反応
「張本智和は中国で嫌われている」と検索される背景には、少なくとも三つの論点があります。日本代表として中国の強豪を倒す存在であること、国籍変更をめぐる感情が絡みやすいこと、そして試合中のガッツポーズや観客への反応が報道で取り上げられることです。
一つ目は、卓球における中国の強さと国民的な期待です。中国では卓球が国際的な強さを象徴する競技の一つとして扱われています。その中国代表を日本代表の張本選手が破れば、試合結果そのものが大きなニュースになります。中国の有力選手を倒したことが、競技上の評価と感情的な反発の両方につながる場合があるのです。
二つ目は、国籍と代表選択への受け止め方です。張本選手は中国にルーツを持ちながら、日本代表として国際舞台で戦っています。この事実を競技者本人の選択として受け止める人がいる一方、国籍変更をめぐって否定的な見方をする人もいます。過去の中国メディアの報道でも、張本選手の日本代表としての活動は関心を集めてきました。
ただし、両親が中国出身であることと、本人がどの国の代表として競技するかは別の問題です。国籍や出自だけを理由に選手の実力や人格を評価することはできません。
三つ目は、試合中の態度や発言です。張本選手は得点時に大きな声を上げることや、勝利後に力強いガッツポーズを見せることでも知られています。2026年9月のアジア競技大会で日本が中国を破った際には、日本が中国を上回ったという趣旨の発言が注目されました。
Record Chinaの2026年9月25日付報道によると、中国メディアの一部は「日本が中国を超えた」という発言を批判的に取り上げました。一方、中国のネットユーザーの反応は一様ではなく、日本が実際に勝利した以上、その結果を認めるべきだという趣旨の意見も紹介されています。
この違いは大切です。中国メディアの見出しや一部の批判的な投稿だけを見て、中国社会全体が張本選手を嫌っていると判断するのは適切ではありません。競技力を評価する声、発言に反発する声、観客の妨害行為を批判する声が同時に存在しています。
つまり、張本智和選手が中国で厳しい反応を受ける背景には、卓球大国としての競争意識、国籍をめぐる感情、試合中の振る舞いが複雑に絡んでいます。「中国で嫌われる理由」を一つに限定するより、どの試合の、どの行動に対する反応なのかを区別して見ることが大切です。
【WTTチャイナスマッシュ2026】中国の観客のヤジとフラッシュ妨害は何があった?
2026年10月のWTTチャイナスマッシュでは、張本選手が中国の観客によるフラッシュ撮影やヤジについて言及し、大きな話題になりました。日本のスポーツメディアや中国関連報道では、観客の振る舞いと、勝利後に張本選手が見せたポーズの双方が取り上げられています。
日刊スポーツなどの報道によると、10月7日の男子シングルス2回戦で張本選手は韓国のパク・ガンヒョン選手と対戦し、ゲームカウント3対2で勝利しました。スコアは11対6、11対8、7対11、5対11、12対10。最終ゲームの9対10というマッチポイントを握られた場面で、張本選手は客席のフラッシュ撮影を指摘し、審判に対応を求めました。
場内ではフラッシュ撮影を控えるよう注意喚起が行われました。張本選手はその後に逆転勝利を収め、客席に向かって耳に手を当てるようなポーズを見せています。
試合後の報道では、張本選手は中国での試合で自分を応援するファンがいた一方、対戦相手を応援する観客も多かったと説明。試合の序盤からヤジがあったことにも触れ、観客も対戦相手の一人と考えてプレーしていたという趣旨を語りました。
ここで区別したいのは、対戦相手に声援を送ることと、選手のプレーを妨げる行為は別だという点です。国際大会では、地元選手を応援する観客が多くなること自体は珍しくありません。しかし、ラリーやサーブの最中にフラッシュをたく行為は競技の妨げになり得ます。今回の報道では、審判が注意を促す場面も確認されています。
一方、勝利後の耳に手を当てるポーズについては、受け止め方が分かれました。THE ANSWERなどが伝えた中国メディア「捜狐(SOHU)」の報道では、張本選手の仕草を挑発的なものとして扱っています。観客への反応を強く意識した行動だと見る向きがある一方、試合中の妨害に対する感情の表れと受け止めることもできます。
中国ネットの反応にも幅があります。Record Chinaが紹介した投稿には、フラッシュ撮影やヤジをマナー違反と批判する意見や、選手を妨害して何になるのかと疑問を呈する声がありました。張本選手の振る舞いを批判する見方がある一方、観客側の行為を問題視する人もいたのです。
なお、張本選手は翌10月8日の男子シングルス3回戦で、中国の周啓豪選手に0対3(9対11、8対11、9対11)で敗れました。2回戦の勝利とフラッシュ問題だけを切り取ると大会全体の結果を誤解しやすいため、勝敗も合わせて確認する必要があります。
今回の一件から読み取れるのは、中国の観客全体を一つの集団として評価することの危うさです。実際に妨害と受け止められる行為が報道されたことと、それを批判する中国のファンもいたことは、両立する事実です。
【アジア卓球選手権2026】中国勢との対戦結果と王楚欽戦を整理
中国での観客の反応が話題になった一方、競技成績では張本選手が中国のトップ選手と互角以上に渡り合っていることも注目です。2026年9月のアジア競技大会と、10月のアジア卓球選手権は別の大会です。この二つを混同しないことが、対戦結果を正しく理解するポイントです。
2026年9月24日、アジア競技大会の男子団体決勝で、日本は中国にマッチカウント3対2で勝利しました。日本男子が同種目で金メダルを獲得したのは1966年以来60年ぶりです。
この試合で張本選手は2試合に出場しました。第2試合では温瑞博選手に3対1で勝利。日本が1勝2敗と追い込まれた第4試合では、当時世界ランキング1位だった王楚欽選手を3対0(11対7、11対4、11対9)で破りました。
王楚欽選手は中国のトップ選手であり、張本選手にとっても厳しい対戦相手です。その王選手をストレートで破ったことは、張本選手の技術と勝負強さを示す結果でした。第5試合では松島輝空選手が温瑞博選手に3対1で勝ち、日本の金メダルが決まりました。
続いて、2026年10月19~25日にウズベキスタンのタシケントで開催された第29回アジア卓球選手権では、張本選手が男子シングルスで優勝し、2連覇を達成しました。日本卓球協会の大会結果やテレビ東京卓球NEWSの報道によると、決勝では中国の李天陽選手にゲームカウント3対2で勝利しています。
決勝のスコアは1対11、9対11、11対7、11対8、11対7。序盤の2ゲームを失いながらも、球質の変化や守備を組み合わせる李選手のプレーに対応し、3ゲームを連取して逆転しました。
張本選手は決勝だけでなく、準決勝でも中国の温瑞博選手に3対0で勝利。加えて、その前のラウンドでは中国の黄友政選手にも3対0で勝っています。アジア卓球選手権では、中国の有力選手を相次いで破ってタイトルを獲得したことになります。
ここで注意したいのは、王楚欽選手との対戦がアジア卓球選手権の決勝だったわけではないことです。王選手を破ったのは9月のアジア競技大会の男子団体決勝。10月のアジア卓球選手権の男子シングルス決勝で対戦した相手は李天陽選手です。大会名と対戦相手を分けて整理すると、2026年の張本選手の実績が明確になります。
これらの結果は、中国での評判を考えるうえでも大切です。観客のヤジやフラッシュ問題が注目されても、競技成績そのものは別の基準で評価されるべきです。中国勢との対戦で勝利を重ねたことは、張本選手が日本代表の主力として成長していることを示しています。
【プロの結論】中国での評判は「嫌われている」だけでは説明できない
張本智和選手と中国の関係を理解するうえで、最も避けたいのは、国籍や出自だけで本人や中国の人々を評価してしまうことです。
張本選手は中国出身の両親のもとに生まれ、日本で育ち、日本国籍を取得して日本代表として競技してきました。この経緯は、本人がどの国の代表として活動するかという選択の問題です。両親のルーツが中国にあることと、日本代表として中国の選手と戦うことは、矛盾するものではありません。
中国での反応を分析する際は、次の三つの判断基準が役立ちます。
- 競技結果と感情的な反応を分ける:中国の選手に勝ったことへの反発と、卓球選手としての実力評価は別の問題です。
- メディアの論調とネット世論全体を混同しない:一つの報道や一部の投稿だけでは、中国の人々全体の評価は分かりません。
- 国籍と人格を結び付けすぎない:2014年の日本国籍取得は、家族の生活基盤や競技人生の目標を背景とする選択であり、本人の人格を否定する理由にはなりません。
2026年の一連の出来事は、この三つの基準を考えるうえで象徴的です。9月のアジア競技大会では、中国の王楚欽選手を破った張本選手の活躍が日本男子の団体金メダルにつながりました。その一方、10月のWTTチャイナスマッシュでは、観客のフラッシュ撮影やヤジが問題となり、勝利後のポーズも中国メディアで批判的に報じられました。
そして10月のアジア卓球選手権では、中国勢を相次いで破って男子シングルス2連覇を達成しています。大会ごとに結果や周囲の反応は異なりますが、いずれも張本選手が世界のトップレベルで競い続けていることを示しています。
中国での評判は、単純な好意か反感かの二択ではありません。競技力への評価、国籍に関する受け止め方、発言や振る舞いへの賛否、観客のマナーに対する批判が同時に存在します。これらを分けて見ることが、張本智和選手と中国の関係を理解するための最も確かな方法です。
【張本智和中国】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:張本智和の両親は中国人ですか?
A1:はい。父の張宇さんと母の張凌さんは中国・四川省出身です。父は卓球選手を経て指導者となり、母は1995年の世界卓球選手権に中国代表として出場した経歴を持っています。両親は1998年に仙台市へ移住しました。
Q2:張本智和はなぜ2014年に日本国籍を取得したのですか?
A2:日本で生まれ育ち、日本を生活の基盤としていたことに加え、日本代表としてオリンピックを目指す競技上の目標が背景にありました。2014年春には父・張宇さんと妹の美和さんも日本国籍を取得しています。母の張凌さんは中国籍を維持したと報じられています。
Q3:張本智和は2026年に中国の王楚欽に勝ちましたか?
A3:はい。2026年9月24日のアジア競技大会男子団体決勝で、張本選手は王楚欽選手に3対0(11対7、11対4、11対9)で勝利しました。日本は中国を3対2で破って優勝し、同種目で60年ぶりの金メダルを獲得しています。
Q4:張本智和は中国で嫌われているのですか?
A4:中国メディアやネット上では、国籍や発言、試合中の振る舞いをめぐって批判的な意見が出ることがあります。ただし、フラッシュ撮影やヤジを批判して張本選手を擁護する中国のネットユーザーもいます。中国全体が張本選手を嫌っていると断定することはできません。
Q5:2026年のアジア卓球選手権で張本智和は中国選手に勝ちましたか?
A5:はい。10月19~25日にウズベキスタンで開催された大会で、男子シングルスを制して2連覇を達成しました。準決勝では温瑞博選手に3対0、決勝では李天陽選手に3対2で勝利しています。王楚欽選手に勝った9月のアジア競技大会とは別の大会です。
まとめ:張本智和と中国の関係を正しく理解するために
張本智和選手と中国の関係は、両親の卓球経歴、2014年の日本国籍取得、日本代表としての活躍、中国メディアの報道、観客の反応が重なり合って形成されています。中国で批判的な反応が起こることはありますが、それだけで中国の人々全体の評価を決めることはできません。
2026年9月のアジア競技大会では王楚欽選手を破り、日本男子団体の金メダル獲得に貢献。10月のWTTチャイナスマッシュではフラッシュ撮影やヤジが問題となりましたが、その後のアジア卓球選手権では男子シングルス2連覇を達成しました。こうした出来事は、張本選手が競技面でも社会的な注目度でも大きな存在であることを示しています。
今後の報道を読む際には、国籍やルーツに関する事実、試合の公式結果、本人の発言、メディアの論調、ネット上の個別の意見を区別することが大切です。張本智和選手をめぐる議論を理解する鍵は、「中国で嫌われているか」という問いだけにとらわれず、卓球という競技を通じて生まれる日中の競争と交流を、事実に即して見ていくことにあります。